週刊読書マラソン

積読消化をめざすささやかな悪あがきの記録

田中洋子編著『エッセンシャルワーカー』(2)

もはや毎週火曜日更新と名乗った方がいい気がしてきました。週刊読書マラソン第7号は引き続き、田中洋子編著『エッセンシャルワーカー―社会に不可欠な仕事なのに、なぜ安く使われるのか』(旬報社、2023年)です。

先週はやや忙しく、第2部しか読み終わりませんでした。このペースだと1ヶ月かかってしまうのでもう少しペースアップしたい……。

 

 

本書の構成(のうち今回読んだところを抜粋)

●第Ⅱ部 
自治体相談支援、保育園、学校、ごみ収集の今
予算削減で進む公共サービスの非正規化
  
第1章 自治体相談支援員  上林陽治
第2章 保育士 小尾晴美
第3章 教員 上林陽治
第4章 ごみ収集作業員 小尾晴美

旬報社より)

本書の面白かったところ、新しく学んだところ

今回読んだ第II部は、私たちの生活に密接に関連した職業が取り上げられていました。教員については、仕事上ある程度基礎知識として知っているところ(教職調整額、非正規依存)もありましたが、他方で待遇の優位性の低下などの歴史的経緯には明るくなかったので勉強になりました。

また、保育士についても、例えばドイツの幼稚園教員運動などの抽象的な文脈で、学校の教員と切り離されて低位にとどめおかれた経緯は学んだことがあったのですが、日本の文脈での待遇悪化については初めて知るところが多かったです。

個人的には第1章と第4章の公務員の待遇が非常に印象的でした。とりわけ、ごみ収集の作業員という、あまりにもエッセンシャルな仕事が劣悪な労働環境におかれていることはどうしようもなくもやもやします。AIに代替される仕事はなんだ、といったそれこそあまり生産性のない「脅迫」はありふれていますが、どう考えてもAIに代替されえないエッセンシャルな仕事はどのように持続可能な形で残していけるのか、そちらの方がよっぽど気になるところです。どうも資本主義にまかせてもうまくいくとも思えませんし。