週刊読書マラソン

積読消化をめざすささやかな悪あがきの記録

山田優『ChatGPT翻訳術』

週刊読書マラソン第2号は、山田優『ChatGPT翻訳術―新AI時代の超英語スキルブック―』(アルク、2023年)です。

GPT-4の課金をしようと思ったら新規登録ウェイティングリストに入ったまんまの私ですが、どのようにすれば有効に使えるのかに関心があります。ただ、巷のビジネス書だと「エクセルの使い方」レベルのことしか書いておらず、今ひとつ食指が動きませんでした。その点本書は、翻訳の専門家が書いていることもあって、示唆に富んでいました。

 

 

本書の構成

Chapter 1 AI翻訳の進化の核心を掴む
Chapter 2 AI翻訳を駆使する「言語力」を身につける
Chapter 3 ChatGPTで翻訳する
Chapter 4 実践で学ぶChatGPT翻訳術
Chapter 5 AIと英語学習の未来予測

ChatGPT翻訳術 新AI時代の超英語スキルブック - 株式会社アルクより

 

本書の面白かったところ、新しく学んだところ

ChatGPTを使いこなすキモはプロンプトだということくらいは理解していましたが、そのプロンプトについて翻訳のプロが説明してくれているのが興味深いです。主張は極めてシンプルで、例えば「モダリティ」などといったメタ言語の概念を理解していることがプロンプト作成に重要であることや、AIの正確性は人間とさほど差がないものの、流暢性の観点でAIに強みがあることなどが示されています。基本的にこのシンプルな主張に沿って実例が紹介されるので、かなり読みやすかったです。

私自身の仕事だと、1年に1度くらいのごくまれな頻度で英語のメールをやり取りすることがあるので、そういう場面にこの本で学んだ技術が重宝しそうだなと思いました。あと文脈を意識した加工が容易にできるようになってくると、英語論文の投稿なんかもだいぶハードルが下がるような気がしています。

この本の事例では、有料版のGPT-4が前提となっているようでした。手元のGPT-3.5だと、まあ似たような答えは返ってくるけど、若干答えの質が劣るような気がします(気のせいの可能性もだいぶ高いですが)。早くGPT Plus解禁されないかなあ。