週刊読書マラソン第24号は、広田照幸『学校はなぜ退屈でなぜ大切なのか』(筑摩書房、2022年)です。なぜか読んだ気がしていたのですが、読んでいませんでした。そしてなぜか2冊持っていました。
本書の面白かったところ、新しく学んだところ
正直なところ、第1章から第3章は、一般の方にわかりやすく書いているという意味では意義があるものの、自分自身としては比較的既知の議論が多かったです。ただ、2章で「平和で民主的な国家及び社会の形成者」という教育目標が法令上存在していることを取り上げるところなどは、筆者の立場も現れているようで興味深かったです。3章でコメニウスが出てくるところもなんとなく好みです。
個人的に面白かったのは、4章から6章(道徳教育、平等と卓越、AI)の各論的な章です。こうした各論的な議論は本書のメインテーマとはまた違うのでしょうが、もう少し掘り下げてもらっても面白いかなと思いました。あまり普段自分自身は未来予測みたいなことに力を入れていないので、AI社会がもたらす教育の危機の話などは新鮮に目に映りました。結局、人間が生きる社会構想が大事、という話になるわけですね。
ともあれ、主語が大きい「教育」についての話は、だいたいこの本(の特に前半)で押さえられているという印象を受けました。